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Vol.1 アワード車両の紹介 240ZG 編

  • KW
  • 8月20日
  • 読了時間: 4分

昨年開催されたVol.1の総合アワードに当たるParadox of Perfection Awardを獲得したのは、しのさんの240ZG(HS30型)です。

Paradox of perfection Awardとは?

パラドックスとは一見すると矛盾しているように見えるが、実は奥深い真実や隠された現象を内包している可能性のある概念や状況のことで、日本語では逆説や背理とも訳されます。

Uncertain Logic「不確実な論理」というテーマの逆説的な意味になる、"完璧に近い"カスタムカーに贈られる栄誉ある賞です。


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初代フェアレディZが日本で販売されたのは1969年(昭和44年)。翌1970年には、輸出専用モデルとして2.4LのL24型水冷直列6気筒SOHCエンジンを搭載した「ダットサン240Z」が北米日産から販売開始されました。


当時、ポルシェ911の価格が1万ドルだったのに対し、240Zはわずか約3600ドルという価格設定。それでいてポルシェに勝るとも劣らない性能と、洗練されたデザインを備えていたことから爆発的にヒットし、1978年までの販売総数は約54万台に達しました。その大半は北米市場で販売されたもので、日本国内での販売は約8万台にとどまります。この記録は、最も売れたスポーツカーとして2019年末に6代目フォード・マスタングにその座を譲るまで、長らく破られることのないものでした。


そんな初代フェアレディZの中でも、特に希少とされるのが日本専売モデル「240ZG」です。1971年から73年までのわずか2年間のみ販売された限定的なモデルであり、しのさんが所有するZこそがまさにその240ZGなのです。


しのさんは、このZに出会う前までは、国産スポーツカーを乗り継ぎ、カスタムを楽しむ一般的なクルマ好きの青年でしたが、幼少期、近所に停まっていたS30型フェアレディZを目にして以来、その姿に強い憧れを抱いていたといいます。

「いつかは240Zを」と胸に秘め続け、ついにその夢を実現させたのが、この240ZGなのです。


そんな希少な個体でありながら、しのさんはさらに独自のカスタムを施しています。カスタム内容をご紹介する前に、このクルマのコンセプトについて伺ったところ、返ってきた答えは―― “ジャパニーズ・ストリート・チューニングカー”

つまり、ただ見た目を重視したショーカー仕様ではなく、日本のリアルなストリートを走ることを前提としながら、走行性能とかっこよさを高次元で両立させることをテーマに進化してきた一台なのです。


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それでは、この車両の紹介に移りましょう。

エンジンはオリジナルの2.4LからL28に載せ替えてあり、さらに3.0Lへとスケールアップ。

クランクはL28ノーマルを活かしつつ、ボアアップによって排気量を拡大した仕様です。

これにより、豊かなトルクとファインチューンによる滑らかさが両立し、余裕ある走りを実現しています。

そしてもちろん、この世代の象徴ともいえる「ソレ・タコ・デュアル」(ソレックスキャブレター、タコ足、デュアルエキゾースト)はしっかりと抑えられています。

ボンネットを開けると、ポリッシュされたヘッドカバーやキャブレター、アルミラジエターやリザーブタンクなどが目に入り、シルバーで統一されたエンジンルームが広がります。細部まで丁寧に手が入れられており、メンテナンスが行き届いていることが一目でわかります。


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足回りは純正サスを亀有製の車高調キットで加工し、調整式に変更。

ホイールはRSワタナベのRタイプにアドバンA050を装着、ドシっと安定感のある足回りになっています。

タイヤもSタイヤを装着している事により、レーシーな雰囲気を醸し出しています。

ボディカラーのマルーンに相まって、ブラウンの組み合わせが実に渋い!


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内装に目を移しましょう。

内装はダットサンコンペのシートにシュロスの3点シートベルト、クラシカルな雰囲気にヨーロッパブランドのシートベルトが"良い雰囲気"を出しています。

ハンドルはダットサンで"当時"感を。

Zの内装の特徴の3連メーター部にはSTACKのメーターに変更し、見た目と実用性をアップ。

そして、全体的に綺麗な内装となっていますが、よく考えたら約55年前の車という事に驚きを覚えてしまいます。

この綺麗さを内外装で保っているには脱帽、本当にすごいです!


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目に見える部分だけをご紹介しましたが、しのさんとお話をさせていただくと、旧車に乗ることの大変さが改めて分かります。

毎日変わるコンディションに対応する知識と忍耐が必要で、自分である程度整備できなければ、日常的に乗ることも難しい――まさに「好きだけでは乗れない車両」です。

しのさんはご自身で整備を行い、Zに対する愛情を惜しみなく注ぎ込んでいます。


そんな真摯な姿勢と愛情が、この車の美しさとして表れているのだと思います。昨年のVol.1では、選考員たちもその思いを感じ取りました。しのさん、改めて初代総合アワード受賞おめでとうございます!


今年のVol.2でも、オーナーの思いが込められた個性豊かなカスタムカーが数多く並ぶことを楽しみにしています。


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しのさん instagram

Photo : Fruolux













 
 
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